たまたま温泉地へ赴いた時に開店まで30分という時間があったので傍らに備えられた本棚の一冊を手に取って開いたページに書かれていたことに目に留まった。
アンパンマンの作者やなせたかし氏の言葉「人生は喜ばせごっこ」という言葉の後にあった「幸福の見つけ方」。
あもわず読んでみた。そこにはこう書かれていた。
幸福な人には幸福は見えません。もしも、不幸になった時に幸福が何だったか見えてくるはずです。
これは真理だと思いました。幸福を追い求めていると幸福とは何かを理解していない。求めている時の幸福とは物欲などの欲望を追い求めているのではないでしょうか。否、物だけにとどまりません。人間は名誉欲が高い生き物ですので名誉を求めている場合も多分に多いのでしょう。
求め苦しんいる時は、その先に幸福があると信じ込んでいます。しかし、行きついた先にはさらに高い欲を求めていくのが人間の欲です。
吾唯知足(われ唯 知ることを知る)とは京都の龍安寺のつくばいに掘られた言葉です。私は足りていることを知るだけです。知らないと不足を思い追い求め不安や不満を大きくしていくだけなのが人間なのです、という意味でしょうか。
素直に自分の環境を認め、知ることが大事です。追い求める生き方もそれはそれでいいのでしょうが、それはある意味苦しみ棘の道なのではないでしょうか。
どんなに追い求め、財を名誉を得ても人間は最後は死を迎えます。だからといって厭世的に生きるのではなく、他人を喜ばせて生きていく。自分の求める欲望のまま生きていくことではない生き方、そんな生き方が幸福というものを見せてくれるのではないかと思いました。
そんな本の一節を読んで温泉に入り湯に浸かりながら見える手取川峡谷の眺めはいいものでした。体調がイマイチでふさぎ込んでいただけに心も洗われるようでした。
